この度,2010年11月24日に配信したカンファレンスにコメントをいただきました.
スカイプで登場していただいたA先生(
@aquanimitas)です.
このようなフィードバックがあると大変勉強になります.
ありがとうございました.
症例1
① スライド全てはフォロー出来ていないのですが、SIRSの基準を満たし、CK 78300、AST /ALT ↑ LDH ↑ BUN,Cr ↑ CRP 35.5、血液ガスは「metabolic acidosis + resp. alkalosis, AG ↑」であったと思います。
レジオネラはとても組織破壊性の強い菌で、市中肺炎の起炎菌の中でも臓器障害や横紋筋融解症を合併しやすいと言われます。(1~3)
また、AG開大を伴うmetabolic acidosis + resp. alkalosis は、「肺炎+Sepsis+筋破壊」にピッタリです。血培を採って、レジオネラ尿中抗原の迅速検査を出されていたと思いますが、素晴らしいです。
肺炎の起炎菌のうち「肺炎球菌」と「レジオネラ」は、組織破壊の強さと速さでは双璧です。その二つの菌について尿中抗原の迅速検査が開発されたのは、臨床の現場、特にER内での必要性というincentiveが働いたと思います。
CRPと白血球数で感染症の有無や重症度を判断してはいけないと言われますが、この両者のように組織傷害性が強くて速い場合は、重症度の指標として有用です。(4)
② 統合失調症の患者さんで大量の内服薬を服用中の方は、消化管の運動不全を生じ易く、それだけでも compromised host として捉えてよいと思います。
1)レジオネラ肺炎65例における重症合併症とその治療成績 日呼吸会誌, 47(7): 558-568, 2009
2)横紋筋融解症を合併した市中肺炎 日呼吸会誌, 43(12): 731-735, 2005
3)レジオネラ肺炎:市中肺炎としての散発25例の臨床的検討 日呼吸会誌, 40(11): 875-883, 2002
4)Contribution of C-reactive protein to the diagnosis and assessment of severity of community-acquired pneumonia. Chest, 125(4):1335-1342,2004.